社会に必要なIoTはコレ!NEDO「IoTを活用した新産業モデル創出基盤整備事業」公募のポイント解説②
#IoT #NEDO #支援制度 #公募 #補助金/助成金 #委託事業 #健康管理 #高齢者 #自治体インフラ #保育事業 #認知症予防/改善 #運送事業負担軽減
昨日のApple発表会で注目のiPhoneXが欲しくなった妄想ダイスキOKstyleです。
前回の続きで、支援制度「補助金/助成金、委託事業」の解説をしたいと思います。
前回の振り返りですが、
支援制度は大きく、
・融資・保証
・優遇税制
★ 補助金/助成金、委託事業 → 前回に続き、NEDOの「IoTを活用した新産業モデル創出基盤整備事業」公募案件から「日本の国としてどうしていきたいのか」「何が求められているのか」みていきます。
・出資
・経営支援/相談
・ビジネスプラン/コンテスト募集・表彰
の6つあります。
※NEDO:国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構のことです。
NEDO「IoTを活用した新産業モデル創出基盤整備事業」説明会に出席
2017年9月12日(火)に大同生命霞ヶ関ビルのNEDO霞ヶ関分室で行われた公募説明会に参加してきました。
今回の公募は、
① 研究(委託、共同研究、助成)
② 調査等
の2つに分類されます。
前回は、①の研究開発のポイントを説明しました。
今回は、②調査等のポイントを解説します。
調査等(委託事業)の5テーマ
調査等のテーマについては
先導研究テーマ1:「保育事業の IoT 技術利用によるデータベース及びプラットフォームの検討」
先導研究テーマ2:「IoT および AI 技術を活用した職業情報の標準化と適切な情報伝達を通じた個人の求職行動変容に係る調査」
先導研究テーマ3:「IoT 活用による高齢者等の健康管理と認知症等の予防・改善につながるサービス創出に係る調査」
先導研究テーマ4:「母子健康情報等を起点とした生涯の健康情報管理及び当該情報を活用したサービス創出の可能性等に係る調査」
先導研究テーマ5:「自治体間の社会インフラ維持管理における情報連携に向けた検討」
となっております。
①研究開発では活用するIoT技術や手法が指定されていますが、②調査等では領域テーマの解決したい新規課題の指定のみで活用する技術や手法の指定がありません。
テーマ1の保育事業については、
<社会課題①: 「少子化の克服」>
(問題) 待機児童問題等の早急な解決
(課題) 子育て環境を整備
<社会課題②: 「教育の充実(幼少期におけ る非認知能力の強化など)」>
(問題) 保育現場の過度な業務負担 で、「質」を高める余裕がない
(課題) 保育の「質」の向上
上の2つの課題の根本的に解決しなければいけないのは
・保育供給量の拡大 → 保育士 確保が困難 → 必要な保育所の新設等が出来ていない
・保育の安定供給 → 保育所等の IT インフラが未整備 + 自治体等に おける各種手続が異なっている → バックオフィス業務等の効率化が思ったように進められない
の2点があり、社会インフラとして重要な保育事業としての変革が求められています。
参考までに政府では、新たな待機児童解消策を6月上旬に「子育て安心プラン」 として発表しています。
保育事業のこうした課題をIoTを活用して具体的に実証調査していこうということです。
IoT技術の指定はありませんが、
①IoT 等を導入した際の、現場に即した新たな業務フローの構築(登降園管理、検温、午睡チェ ックなど)
②IoT により得られたデータを、電子データのまま処理できる保育所内システムの構築
③電子データの活用により円滑な自治体手続等を行うためのシステムの構築(データの出力フォ ーマットや、データ取込のためのインターフェイス設計など)
④保育所の質の改善や適切な情報公開のための、集められたビッグデータ等の活用
などについて、パッケージで検討していくことが必要
と具体的にしてほしいポイントの例示はされています。
テーマ2の働き方については、
<社会課題①: 労働市場において、最適な人材移動(採用/転職・再就職)を実現>
(問題) 「企業の情報」「働き手の情報」「職業の情報」の各種情報が、効果的・効率的に企業・働き手双方に行き渡っていない
(課題) 職業情報、資格情報等を総合的に提供する新たな職業 情報データベースの構築を通じて、各種情報の「見える化」
<社会課題②: 働き方改革を各企業が実現>
(問題) 職務や能力等の内容の明確化とそれに基づく公正な評価の推進
(課題) 職務の明確化に標準的な職務内容の(公的かつ統一的に)定義が必要
上の2つを解決するためには、
現在、公正・中立・客観的な職業情報が存在しないことから、効果的なマッチングを図 り、雇用の流動化を推し進めるためにも、自らの能力・適性に応じた適切な職業選択 を実現でき る職業情報データベースの構築が、急務となっています。
とデータベースを構築、プラットフォームとして整備するためのデータ収集などでIoTを活用したいというところです。
例えば、
ウェアラブル機器から得られるデータ(活動量、睡眠時間など)を集約・分析した上で、 職業情報に紐付けて提供することによって、求職者が職業選択を行う際の参考情報になるとともに、在職者が同じ職業の標準モデルと比較する事で、自己の働き方を見直すきっかけとして活用 することができます。
と具体的なところまで触れています。
目的を満たしているかのポイントとしては、
①働き手が求職活動を行う際に、求められる特性や知識のイメージが可能となり、「キャリア ディベロップメント」を促進する事ができるか
②労働市場全体で考えた際、働き手の特性に応じた就職・転職が促進され、社会全体における 人材の最適配置が生み出されるか
③将来、分析した情報をオープンデータとしてアクセス可能な状態にすることで、民間企業が データを活用した新たな産業・ビジネスを生み出していくことができるか
の3点で達成できるIoT活用提案にする必要があります。
(参考)本年3月決定の「働き方改革実行計画」で、「AI 等の成長分野も含め た様々な仕事の内容、求められる知識・能力・技術、平均年収といった職業情報のあり方につい て、関係省庁や民間が連携して調査・検討を行い、資格情報等も含めて総合的に提供するサイト (日本版 O-NET)を創設する。」となっています。平成29年3月28日 働き方改革実現会議決定資料P-25目 抜粋
テーマ3の高齢者の健康管理については、
①今後のますますの高齢化が進み、認知症者が増加し、介護保険給付費の増大・介護人材不足の懸念
②PC やスマートフォンの普及、各種健康関連デバイス(ウェアラブル端末、家庭用検査機 器等)の登場、センサー技術の発展により、これまで取得出来なかったデータが簡便に取得できる
上の2つのことから医療・介護の質の向上、業務の効率化に加え、個人の状態に応じた疾病予防や健康増進につながるサービスの創出等、生涯現役社会を実現していきたいというところです。
日本政府も「人生100年時代構想」というのを立ち上げていることから、その重要さが伺えます。
健康管理のIoT活用にあたっては、
①疾病予防や介護予防等につながる効果的な仕組みを構築するために必要なデ ータ項目
②データ収集や連携等デバイス・システムのあり方
③必要なプレーヤー
④効果測定指標(評価指標)等
の4点の仮説をもったユースケース設計が必要になります。
合わせて、病気や心理状態の見える化、非薬物療法やその評価指標の具体化も必要になります。
私たち30、40代は、団塊の親世代が年をとって色々心配になるので、健康管理だけでなく、自分のこととして「親の事」を考えていくことも重要だと思います。それにIoTの新しい技術が融合できるとワクワクできそうですね。
テーマ4の生涯の健康管理情報については、
(問題)
個人の健康にまつわる情報のうち、従来からある母子保健情報や学校健診情報などが、実施主体である自治体や学校などにおいても紙でしか存在しない、一定の保存期間後に破棄されるなど、本人が許可しても参照や利活用ができない、情報の収集や利活用が困難な実態にあります。
(課題)
ひとりひとりが、生涯の自らの健康にまつわる情報を適切に取得・管理し、健康の維持・増進につながる適切なヘルスケアサービスや医療を受けられる環境の整備
これらの情報を円滑に収集・利活用する上でIoTを活用しようというところです。
そのためには、
①母子健康情報や学校検診情報等の利活用に関する具体的なユースケースを設定して、生涯の健康管理に資する情報管理の全体像とその課題、対応の方向性等の明示
②生涯にわたる健康情報管理やデータのポータビリティ確保等に係る想定されるビジネスモデル、データの集約や共有を行うプラットフォームの検討を含め、生涯を通じた健康情報管理やその利活用を実現するにあたって必要な課題の整理
の2点をどうIoTを使って解決していくかというのが必要になります。
テーマ5の自治体間の情報連携については、
前述の4テーマとはちがい、前回の①研究開発のテーマ4「IoT 技術を活用 した地方自治体管理施設の効率的点検・管理手法に関する研究開発」と連携しているテーマになります。
問題としては、
・社会インフラの 点検方法の多くが目視点検や打音調査が基本 → 結果判定が点検員の経験や勘に頼る部分が多い
・ベテラン点検員の減少等による人員不足
・新たな人材の早急な育成の必要性
・点検だけで欠陥を発見することが困難
など4つがあり、自治体が管理している施設が今後、40年、50年を迎えることから、より一層の適切で効率的な維持・管理が重要となります。
課題の克服にむけては、
①自治体の実情を把握した上で(ITスキルなどの実運用としての実現性)
②自治体間における点検、診断、補修等の情報の共有化するプラットフォーム構築
③IoT技術を活用した社会インフラ構造物の継続的な監視、劣化に起因する潜在的な危険の回避や点検・診断等への支援
などが必要になります。
IoT活用のポイントとしては、地方自治体間において
①自治体管理の社会インフラ維持管理における連携のあり方
②連携のためのプラットフォーム
③自治体間連携の他の自治体への展開可能性
④実証する IoT 技術の他のインフラへの展開可能性
⑤効率的な社会インフラ維持管理における省エネ効果
をおさえる必要があります。
「②連携のためのプラットフォーム」については、
(参考)H28 スマート工場実証事業 報告書 データプロファイル(平成 28 年度 IoT 推進の ための社会システム推進事業(スマート工場実証事業)」
を参考にしながらイメージしてみてください。
効果としては、
・診断の精度向上
・社会インフラを長寿命化
・社会インフラ維持管理コストを著しく低減させつつ、省エネ効果
があり、安心で安全かつ合理的なエネルギー使用による社会インフラの持続が可能になります。
そのほかおまけ&公募注意点
ということで2回にわたって、NEDOの公募案件からみるIoTに求められるポイントをみていきましたがいかがだったでしょうか。
公募する際の、注意点としては、応募するe-Radの登録に2週間ほどかかるので未登録の方はまず登録をしましょう。今回の公募の実行期間が10月中旬から来年3月までと短期間になるので提案の実現性と期間をリンクさせる必要がありますのでご注意ください。
そのほか、書面上ではわからない説明会でしか聞けない「テーマあたりの提案金額イメージ」「金額規模で一次審査のみになる」など貴重な情報もありました!裏話ききたい方は個別にコメントくださいm(_ _)m
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございましたm(_ _)m
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