ICT活用した平昌オリンピックから、東京オリンピックへ
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あらゆるモノをネットにつなげる「Internet of Things」(IoT)を毎日考えている妄想ダイスキOKstyleです。
ついに平昌パラリンピックも18日に閉幕しました!そんなオリンピック・パラリンピックでも選手たちの熱戦の裏側をリアルにいろんな視点でお伝えするべく、IoTなど最先端技術が活用されています。
平昌オリンピック/パラリンピックで使われたIoT技術
熱戦が繰り広げられた記憶に新しい平昌オリンピックが閉幕して、先週末にはパラリンピックも閉幕しました。
今回の平昌(ピョンチャン)冬季オリンピック・パラリンピック競技大会は、世界初の5Gオリンピック、IoTオリンピック、世界最高のICTオリンピックをキャッチフレーズにしています。
そして、韓国のIT政策を担当する省庁の未来創造科学部(部は日本の省に当たる)は、平昌冬季オリンピックに向け5G、UHD(Ultra High Definition Television、4K・8K)、IoT、AI、VRの5大分野を重点的に支援しています。
部内には2014年から「平昌ICTオリンピック推進タスクフォースチーム」を置き、準備状況を確認していたそうです。
そんなオリンピック・パラリンピックで、IoT技術がどう活用されたかをご存知でしたでしょうか?
例えば、選手の姿をリアルタイムに臨場感を伝えたり、開幕や閉幕で空中や会場に光の模様を演出したりなどなど、何気なく見ていますが、あらゆるモノをインターネットにつなげることで実現できています。
① 世界初の「ロボットオリンピック」
韓国の空の玄関口 ソウル・仁川(インチョン)国際空港の入国ゲートを抜けたところでロボットがお出迎えしてくれます。
ロボットは、LGエレクトロニクス社製の空港案内ロボットです。
自律走行型ロボットで、空港内の施設や公共交通機関、オリンピック情報などを案内してくれます。
音声認識での操作ができ、周囲が賑やかな空港でもしっかりと言葉を認識してくれます。
音声認識だけでなく、頭部ディスプレイでのタッチ操作にも対応していて、案内の内容は胴体の大型ディスプレイを使ってわかりやすく説明してくれるんです!
もちろん言語も韓国語だけでなく、日本語や英語、中国語など複数言語に対応しているのはありがたいです。
なんといっても、玄関口の空港から、オリンピック気分を味合わせてくれる記念撮影をしてくれる粋なロボットです。
オリンピック会場の競技場周辺では公式マスコット「スホラン」の姿をしたロボットが歓迎してくれます。
会話をしてくれるわけではないが、身振り手振りを交えながら競技場の説明などをしてくれて、その可愛らしい姿から記念撮影のスポットとなっていました。
オリンピック施設内には、案内ロボットがいました!
「スホラン」を模したデザインの表情が豊かなこのロボットは、競技場施設内のほか、公式グッズストア(Super Store)や休憩所などにいました。
日本語を含む複数言語に対応していて、オリンピックに関する各種情報の提供に加え、対話やエンターテインメントなどの機能などを搭載していました。
しかし、残念ながら、仁川国際空港の案内ロボットと違って目的地までのエスコート機能はないようです。
ただ、多くの観光客に人気だったのが、オリジナルフレームで写真撮影を行ってくれる機能で、撮影した写真は指定したメールアドレスに送信してくれるんです。
その他、オリンピック期間中の2月12日に平昌近郊のウェリーヒリパーク(Welli Hilli Park)で開催された世界初のロボットによるスキー大会「スキーロボットチャレンジ(Ski Robot Challenge)」でもロボット技術が披露されるなど2年後の東京オリンピックの時もとても楽しみです。
② 5Gの実証実験が行われた「5Gオリンピック」
5Gは、以前もご紹介した第5世の代移動通信のことです。
現在中心の4Gに続く新しい規格で、日本では2019年~2020年からの商用化を目指しています。
驚きなのは、最大スピードが20Gbpsで、4Gや固定回線よりも100倍の速さになり、1GB容量の映画1本なら10秒以内にダウンロードできちゃいます。
しかも、レイテンシ(遅延)は1000分の1秒以下となり、ほぼ遅延はゼロという特徴も持っています。
これにより、遠隔地からスピーディーに通信をして、事故を防いだり進むべき道を提案してくれたりする「自動運転」や多数の端末と「同時接続」できることも特徴になっています。
こうした5Gの性能は、現在のITの要素である、AI、クラウド、VR、GPS、IoT、クルマの自動運転などの実用化を進め、機能拡張していく基本要素になっています。
2017年5月に韓国の大統領となったムン・ジェイン氏は、この「第4次産業革命委員会」を政府が後押し、IoTや自動運転に必要なインフラを国の主導で整備し、韓国が再びITの分野で世界をリードする構想を発表しています。
今回のオリンピック中継でチャレンジするのは、以下に紹介する3つの映像手法です。
「タイムスライス」
江陵のアイスアリーナで利用され、フィギュアとショートトラック競技が行われるリンクの壁面には、カメラ100台が一定の間隔で設置されています。
決定的シーンを100台のカメラで撮影した後、複数の方向から分割して多角的に見ることができるんです。
イメージは、映画「マトリックス」で見たような時間が止まって回転していくような立体映像です。
「オムニビュー」
いろいろな視点のポイントから、ストリーミングで競技中に視聴者が望む視点のリアルタイム映像と各種情報を見ることができます。
バイアスロンなどでは、GPSと組み合わせて、位置情報を得ながら、実際にライブのシーンが見られます。
「シンクビュー」
POV(ポイントオブビュー)として、選手視点での映像を見せてくれます。
ボブスレーの正面にカメラを設置して、高速で迫力ある映像をライブで見ることができます。
注目したいのは、オリンピックスポンサーであるKT(旧コリアンテレコム)が、オリンピック会場以外でも、江陵駅前のICTプラザやソウル市街のパビリオンでなどで、5G映像体験を楽しめるようにしている点です。
今回のオリンピック、江陵の会場パピリオンでは、VRやARを使ったゲーム感覚の体験イベントが行われていて、同会場には、KTをはじめ、SamsungやアリババなどのIT企業も名を連ねていました。
また、これらのデモは、平昌と江陵のオリンピック会場内だけではなかったところが、これまでのオリンピックにはないテックイベントを感じさせました。
江陵駅前では、物産展の横にKT主体によるICTプラザが用意され、実際にAR、VRなどの5Gと関連する疑似体験コーナーにて、韓国ITベンチャー企業が提供しているサービスのデモが行われていました。
同じように、ソウルの光化門(クアンファンモン)広場ではKTのパビリオン、近くのシティーセンターには、競合であるSK Telecomの5G体験コーナーがあったんです。
また農業地帯のカンウォンドのウイヤジ村には5Gビジレッジが、ソウル駅やインチョン空港にもICT体験コーナーが用意され、韓国中で5Gというキーワードが溢れていました。
地域 | 場所 | デモ内容 |
---|---|---|
江陵 | オリンピックパーク | KTパビリオン、5Gコネクテッド(VR、AR、タイムスライス体験)、Samsung、アリババ、KIA自動車のパビリオン |
月火通り | IoT、VR、動作認識メディアアートにより最先端ICTの体験機会を提供 | |
駅前広場 | ICTスクエアを設置 | |
平昌 | オリンピックパーク | ヒュンダイパビリオン、自動運転、パナソニック |
江陵・平昌共通 | Play IoT Service Desk | 音声翻訳アプリ(ジニートーク)、ARによる会場案内アプリ コネクティッドバス(ホログラム映像通話)UHD映像のストリーミング ロボットヘルパー85台 |
プレスセンター | 飲料サービングロボット4台 | |
駐車場 | IoTセンサーの設置で、駐車場利用可能車両台数のお知らせ | |
アパレルショップ | バーチャル試着体験、VISAスマート決済&手袋 | |
江原道横城ウエルリヒーリーパーク | スキーロボット競技大会開催 | |
ウイヤジ村 | 平昌5Gビレッジ | AR VR ホログラムを通じて観光案内、ドローンによる映像案内、電気自動車、充電設備を用意 |
ソウル | クアンファンモン | KTパビリオン、5G Live Site |
シティーセンター | SK Telecomイベント館 | |
ソウル駅 | ICTプラザ | |
仁川空港(第1ターミナル) | ICTプラザ | |
テレビ | 韓国地上波放送 | UHD(4K)で生放送 |
③ オリンピック開会式の1218台のドローンによる圧巻の飛行パフォーマンス
開会式のIntelによる1218台のドローン飛行はすごかったです!
今までの最大500台から、一気に2倍以上のドローン編隊を実現しています。
今回はまだ従来の通信技術でしたが、今後、5Gを使ったコントロールにすればもっと台数を増やすことができます。
東京オリンピック・パラリンピックでも、5G環境で多数のドローンを操ったパフォーマンスや会場監視、実況中継など活用されること間違いなしです!
まずは今回の平昌オリンピックでのドローンパフォーマンス動画を見てみてください。
2020年東京オリンピック・パラリンピックにむけて
2年後に向けての骨子が総務省から出ているので、一部ご紹介します。
オリンピックに向けては、社会全体のICT化を進めていきます。
具体的には、
「無料公衆無線LAN環境の整備促進」
「ICTを活用した多言語対応」
「放送コンテンツの海外展開」
「4K・8Kやデジタルサイネージの推進」
「国内発行SIMの差替えによるスマートフォンの利用の円滑化」
「国際ローミング料金低廉化に向けた取組」
など、新たなイノベーションを世界に発信するため、大会以降の日本の成長も見据えた社会全体のICT化の推進のあり方について、産学官で具体化に向けた検討を実施しています。
<基本的な考え方>
◼︎ 2020年東京大会では、日本の優れたITを使い、様々なコミュニケーション・チャネルや手段を活
用して実施。
◼︎ ITや通信技術という、オリンピックの価値を普及させ、世界中の若者層に伝える新しい手段を
提供する2分野における名高いイノベーションの力は重要なコミュニケーションの機会
◼︎ ソーシャル・メディア を活用し、そこに日本の優れたITも巻き込んだ、統合されたプロモーション
プログラム及びメディア活動
上の「基本的な考え方」のもと、オリンピック・パラリンピックでは、下の4点に取り組むそうです。
① ICTインフラ
● 安定した高速通信や信頼性の高い超高精細映像機器や超高速度カメラなどの、映像技術を提供
● すべての競技会場及び非競技会場で、無線LAN、LTE、WiMAXなど、高速・大容量のデータ通信用ワイヤレスサービスを利用することが可能
② 競技中の環境
● 東京の有名な公園に大型スクリーンを設置。東日本大震災の被災地にもライブサイトを設置し、東京の会場と中継
● 選手村は技術革新の世界的リーダーとしての日本の立場を保ち、新技術を特徴づける場。居住ゾーンの至るところで、ライブ映像やタッチスクリーンなどが見られる。
③ スマートなアクセス
● 全ての観客が会場への道順をすぐに把握でき、会場へのアクセシビリティが最大化されるよう適切な標識及びシステムを確保
● カーナビゲーションや鉄道の車内情報システムを通じ、様々な交通情報を提供
● 駅の事前情報、路線図、英語などの外国語の表示・音声案内による情報提供体制を2020年までに構築
● 多くの鉄道に設置されている「車内情報システム」では、競技結果や東京の観光案内、競技場へのアクセス情報を多言語で提供
④ オープンデータ
● チケットについて、インターネット、モバイル機器等を通じてリアルタイムな空席情報を配信
● 収集する交通情報をさらに高密度化・高性能化し、ドライバーに対して、渋滞、交通規制、目的地までの旅行時間などの交通情報を、光ビーコンや情報板等を通じてリアルタイムに提供
● 位置やバス停への到着時刻などの情報を提供するバス・ロケーション・システムをWeb及びモバイルで提供
これからの2年で、目まぐるしくIoTテクノロジーは進み、環境は激変していきます。
現時点では、上のような骨子ではありますが、柔軟性を持って取り組むことも必要になってきますが、2年後がとても楽しみです!
みんなで妄想しつつ、IoTで実現していきましょう。
それでは今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございましたm(_ _)m
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